2015年5月21日木曜日

『ビッグデータ・コネクト』(藤井太洋)読みました。

手紙やメールを書くとき、
「こう書いたら、なんて思うだろう?」とか
「たぶんこう受け取るだろうから、
 その受けに対して、
 答えを先に知らせちゃおう」とか、
考えながら言葉を連ねます。

基本、ぼくはビビリなので、
叱られないように、怒らせないように、
相手の顔色をうかがいながら
(あっ、目の前にはいないから、
 顔色を想像しながらか)
お知らせの文章なんかをつくっていくんです。

物語の本を読んでいると、
ぼくと同じような著者の思惑が、
ちらほらと見え隠れするときがあります。

「このセリフを言わせたら、みんな泣くぞ」とか
「こう書けば、読者はきっと
 こいつが犯人だと勘違いするぞ」とか。

そんな思惑に気づいちゃうと、
読み進めていても、
どこか興ざめな感じになってくる。

ところがどっこい、
その興ざめ感も計算して、
さらにその裏をついてくる作品もある。

あの時のあざとい泣きセリフは、
そのあざとさが後半の伏線になってたり、

何となく犯人をわからせといて、
その上で、
なんちゃってな仕掛けをつくっていたり。

そんな作品に出会うと、
思わず「参った!」とうなっちゃいます。
(関係無いけど、
 ぼくのメールにうなる人はいないだろうな)

で、この『ビッグデータ・コネクト』。

うなりました。参った!



ビッグデータ・コネクト (文春文庫)
藤井 太洋
文藝春秋 (2015-04-10)
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