2015年1月19日月曜日

『不眠症(上)』(スティーヴン・キング)読みました。

物語の長さについては、
池澤夏樹さん訳の『古事記』
(2つ前の投稿)のときに触れました。

でも、もう一回触れます。
どんなものでも、
触れるのって好きなもんですから。

その古事記のときには、
「家臣のうその報告で、
 王に忠誠を誓った男が死刑になる」
って話を例にしました。

こんなふうに縮めちゃうと、
たった25文字で文庫本の1行にもなりません。

でもこの1行の内容は、
加工する作家によって、いくらでも長くできちゃう。

まず、男がどんなに勇ましい人物かを紹介するのに、
鬼ヶ島に行って鬼退治するエピソードを
つくっちゃえば100ページくらいは書けるでしょ。

次に王宮の場面で、
軟弱な家来に囲まれた王様が
自国の防衛に頭を悩ます場面で
その国の背景やらなにやら織り交ぜて150ページ。

そこに「鬼退治男がいます」
なんて助言する若者が登場して(50ページ)、
その若さをねたむ老齢の家臣が
「では私が男の本心を探って参りましょう」
とか言って(30ページ)、
……そんなこんなでページを費やしていくと、
あっという間に大長編の出来上がり。

が、しかし!
一番大切なのは、その長さが、
読む人にとって心地良いかどうかですよね。

で、この『不眠症(上)』。

まだ下巻が未読ですが、
ここまではちと長すぎに感じました。
たしか700ページ近く…。


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