2015年1月15日木曜日

『櫛挽道守』(木内昇)読みました。

言葉を並べてつくる本制作の
仕事をしていながら、

「言葉なんてないほうが、
 みんな幸せなんじゃない?」

などと、ときどき思ったりしちゃいます。

言葉こそが、世の中をへんな方向に
引っ張っていく大もとの
出来損ない野郎なんじゃないかって。

だって、
いくら言葉を費やしたって、
丸ごと丸まんまは伝わらないじゃないですか。

理解してもらおうと、
頭をネジ繰り返して、
わかりやすい文章をつくっても、
読む人ごとに違うとらえ方をする。

話を聞いて納得した気でいても、
話し手の思惑と
ぴったり同じなんてことはあり得ない。

それでも
コミュニケーションがとれたように錯覚して、
社会が回っていっちゃうから、
すぐにガタがくる。

もし、言葉じゃなくて、気持ちや考え方が
丸まんま伝わるツールを身につけて
人間がサルから進化してきたんだったら、
今ある嫌なことや悲しいことは、
ほとんどなかったんじゃないかな。

とはいえ……
嫌なことや悲しいことがあるから面白い、
とも言えるから困っちゃうんですけどね。

それがあるから、小説も成り立っていて、
面白いと感じたくて字を追ってるのが
ぼくなわけで…。

で、この『櫛挽道守』。

はぁ〜。言葉があって良かった。泣きました。



櫛挽道守
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木内 昇
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