2014年5月7日水曜日

『天平の甍』(井上靖)読みました。

映画学校を卒業し、
学校が紹介してくれた助監督の仕事をしていたら、
あまりにも不安定な仕事(時間も給料も)に
親が心配して、比較的まともな会社に入らされ、
そのおかげもあって結婚することができ、
結婚できたからもういいだろうってことで、
やっぱ昔からやりたかったモノを書く仕事を
やろうと編集の会社に転職して、
子どもが生まれたりなんだりで、
独立して仕事をしようと思い立ち、
フリーライターから始めて会社をつくって今に至る。

ってのが、
学校を出てからこれまでのぼくの半生まとめ編。

今まで、こういう書き方は、
小説じゃないと思っていました。

小説ってのは、瞬間を瞬間ごとに切り取って、
つなぎあわせてつくるもので、
上の例だったら、卒業式のエピソードを
不安と期待みたいな心理描写を交えつつ、
最低10ページくらいはたらたらと書き連ね、
次はまた別のエピソードで20ページ
って感じのもんだと。

そうじゃなく、要所要所の出来事だけを
短文で重ねていくのは、
小説じゃなく教科書じゃないのって。
それじゃ面白くないでしょって。

で、この『天平の甍』。

教科書みたいな書き方なのに面白い。
これも小説なんですね。


追記
昔読んで内容忘れちゃったので再読した本。
なんで再読したかというと、少し前に読んだ
『国銅』(帚木蓬生)と比べたかったから。
同じ時代が描かれているので、こっちはどうだっかなと。
『国銅』はぼくがこれまで思っていた小説の書き方でした。
でも、ぼく的には、
小説の書き方っぽくない『天平の甍』のほうが
魅力的に思えちゃいました。好みの問題ですけどね。



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