お米のご飯はおいしいんだけど、
よくよく考えてみると、
白米自体はそれほど味はないんですよね。
どどっと汗が出るほど辛かったり、
とろりと甘かったり、苦かったり、
しょっぱかったりするわけじゃない。
ふだん、特別に意識することなく食べていると、
そのおいしさを気にかけないで、
ただ飲み込んじゃうんだけど、
ときどき思い出してじっくり味わうと、
「こんなに甘かったんだ」とか
「舌触りがつるつるして気持ちいい」とか、
ご飯の偉大さに気づいてびっくりします。
豪勢な料理みたいに、
調理にいろんな手間をかけているわけじゃないのにね。
小説にもご飯のおいしさに似たものが、
たまにあります。
急展開のサスペンスストーリーでもなく、
じんじんと泣かせる話でもないから、
ただ飲み込んじゃうように読み進められる。
だけど、よくよく考えて味わいながら読んでいくと、
「えっ!? おいしいじゃん!」って小説。
で、この『国銅(上)』。
まだ下巻は読んでいないんですが、
とりあえずこの上巻は
お米のご飯みたいな味わいでした。
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