2014年1月27日月曜日

『掏摸(スリ)』(中村文則)読みました。

電子書籍を読むキンドルのCMの中で、
一般読者がインタビューに答えて
「本を読んでいると、その世界に没頭して、
 いろんなことを全部忘れられる。
 それが好きで本を読むんです」
みたいなことを言っていました。

それ聞いて「いいな」って思ったんです。
ぼくが本を読んでいてその境地に達するのはまれで、
たいていは、
「もう眠くなっちゃったな」とか
「いけね!あれやるの忘れてた!」とか
「あんなこと言っちゃったけど、
 ヤツは気分悪くしてないかな」なんて、
ぜんぜん関係のないことばかり頭に浮かんできて、
目の前にある本の内容がわからなくなり、
同じページを何度もめくりなおしちゃうんです。

とはいえ、
お気に入りの本になればなるほど、
そんな余計な考えごとの回数は少なくなり、
ずんずんと読み進められる。
そうして早く読み終えられた本ほど、
あとに残るものも大きくて、なんかしら影響を受ける。
全部の本をそんなふうに読めればいいんですけどね。

で、この『掏摸(スリ)』。

ぼくにしては珍しく、
最初から最後まで、余計なことは何も考えず、
すすすーっと読めちゃった本です。
なので、
あとに残ったものが相当大きいかと思いきや、
そうじゃなかった。
めぼしいものは何も残らないという
珍現象が発生したんです。
ぼくの経験上、とてもイレギュラーな本でした。


掏摸(スリ) (河出文庫)
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中村 文則
河出書房新社
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