記憶ってままならないものだと、つくづく思います。
忘れちゃいけないことは、
気持ちいいほどスコーンと頭から抜けていくのに、
忘れたいことは換気扇についた油汚れみたいに、
こびりついて離れていかない。
ぼくの場合、
忘れたいのに残骸がこびりついてるのは、
自分の書いた文章です。
(忘れちゃいけないのに忘れちゃう例は、
自分の名前のほか大量にあるので例示は省略)
自分の書いたものが、
きちんとした文章になっているのかどうか点検するため、
読み直しの作業をするんですが、
このとき、
まっさらな頭でチェックしたいんです。
だから、チェック作業は書いた直後じゃなく、
なるべく日をあけてやります。
へなへなの記憶力が自慢のぼくなので、
日をあければ、自分の書いた文章とて、
すっかり頭の中にはなくなっているはずという期待です。
でも、チェック作業をやると、
やっぱ残骸みたいのが現れる。
書いたとき考えていたことが浮かんできて、
自分が文章をすんなり理解できて、ミスも素通ししちゃう。
そうじゃなく初めて読んだ人の目でチェックしたいんです。
客観的に判断したいんです。……できないんですね、これがなかなか。
で、この『主役はダーク』。
読んでる途中、
「わかりやすく書こうとして余計わかりにくくなってる」
と思いました。
でも、最後まで読むと、
作者さん自身がそれをわかっていたようで、
まとめて軌道修正するページがあったんです。
わぁーっ、自分の文章を客観的にみられる人だ! 脱帽!!
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