2013年7月16日火曜日

『浮世の画家』(カズオ・イシグロ)読みました。

そもそも何を話そうとしていたのか忘れちゃうこと。
「あれ? 今、何話そうとしていたんだ?」
は、酔っ払うとよくあります。

昔は酔ったとき限定でしたが
最近はしらふでも時々あります。

ぼくの場合、親切心というか、余計なお節介心というか
(もっと周辺事情を説明しないと、
 わからないよ……的な気持ち)が大きくなったとき
最初に伝えようとした話題に戻れなくなちゃうんです。

例えば、
「段差につまずいて転びそうになったけど、
 踏ん張れたんだぜ、すごいだろ」
って自慢しようとしたとき、
「いや待て、それには最近ランニング通勤していることを
 伝えて体力が上がったことを先に言わなきゃ」
と思い、自宅から会社までの距離や走破時間、
へろへろな足取りなんかを話していると、
「これを言うなら、なぜ走り始めたのか、
 きっかけも説明しないと」ってことに気づき、
それまで片道10キロのチャリンコ通勤をしていたのに、
会社が引っ越しをして距離が半分の5キロになり、
それでは運動量が減るから、
チャリから走りに切り替えたなどと解説してると、
「その前に、そもそもチャリンコ通勤を
 なぜ始めたかを言ってないだろう」ってなり、
……あれ、最初はなんだっけ? になるんです。

で、この『浮世の画家』。

上で紹介した、ぼくの話し方のような構成です。
これまで読んだ、カズオ・イシグロさんの作品は
全部そうでした。
解説には、ぼくがまだ読んでいないほかの作品も
同じだって書いてありました。
——そうか、ぼくの話し方に似ているから、
ぴったり、しっくりくるんだな。
よし、つぎ読もう。

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