2013年3月1日金曜日

『「平穏死」という選択』(石飛幸三)読みました。


「泣かすのは簡単だけど、笑わすのは難しい」
ってよく聞きます。
そんなことを口にするのは、
作家さんとか、映画監督とか、舞台演出家とか、
物語をつくる人たち。

たしかにそうだと思います。
だって、泣かす場面をつくりたかったら、
善良そうな登場人物を劇中で死なせちゃえばいいから。

人間が死ぬのって、普通の人の感覚からすれば、
悲しいし、泣きますよね。
さらにもっと泣かせたかったら、
その人が楽しく過ごしているときの姿を
たくさん描いてから、逝ってもらう。
そうすると泣けますよ。

そんなやり方がわかっているから、
クリエイターさんたちは
「泣かすのは簡単」って言うんだと思います。

で、この『「平穏死」という選択』。

泣きました。しゃくりあげる寸前くらい。
でも、この本、物語じゃありません。
つくりものじゃないから、
泣かそうと思って書かれた本じゃありません。
介護とかの現場で問題になっている
終末医療について教えてくれる本。
こんなに簡単に泣いちゃう可愛らしい生き物が、
最後はどんな姿でいるべきか──それって真剣に
考えることだよな、と教えてくれた本です。
いい本でした。

「平穏死」という選択 (幻冬舎ルネッサンス新書 い-5-1)
石飛 幸三
幻冬舎ルネッサンス
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