2013年2月12日火曜日

『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席1』(J.K.ローリング)読みました。


●パターンA(バラバラ視点)
「かんべんしてくれよー」とフトシは思った。
弁当のフタを開けるとき手がすべって
タコ形ウィンナーを落としてしまったのだ。
「うッ!! やべぇー」と目をつむって、
授業で暗記しろと言われた平家物語を
頭の中で唱えようとした猪木だが、
床に転がるタコ形ウィンナーには抵抗できなかった。
突き上げてくる笑いに、飲んでいたイチゴ牛乳を
口から鼻から吐き出してしまったのだ。
「おわっ! ピンクの鼻水って初めてだ。
しかも2本。きれいに同じ太さ!」と祐一は感心した。
祐一は、タコ形ウィンナーが逃げ出した悔しさを
我慢できないフトシと、
転がるタコ形ウィンナーを見ながら
ピンクの滝を2本つくり出した猪木という
2人の姿を同時に見た貴重な目撃者だった。

●パターンB(単一視点)
誰かが自分を呼んだので、祐一が振り返ったときだった。
斜め後ろの席のフトシが
タコ形ウィンナーを弁当箱から落とし
「かんべんしろよー」という顔をするのが目に入った。
祐一は「バカだな、フトシ」と声を掛けようと思ったが、
転がるタコ形ウィンナーよりも強烈な光景が、
その奥で展開されたため、
フトシをあざわらう言葉はどこかに飛んでいってしまった。
フトシの後ろにいた猪木だ。
パックのイチゴ牛乳を手に、
目をぎゅっと閉じて3秒ほど真っ赤な顔で
何かに耐えていたかと思いきや、
いきなりピンクの液体を口から鼻から吐き出したのだ。
タコ形ウィンナーが床で踊る姿が
余程おかしかったのだろう。笑いをこらえられなかったようだ。
祐一は「おわっ! ピンクの鼻水って初めてだ。
しかも2本。きれいに同じ太さ!」と思った。

で、この『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席1』

パターンAでした。

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 1
J.K.ローリング
講談社 (2012-12-01)
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