2012年12月6日木曜日

『あなたの人生の物語』(テッド・チャン)読みました。


もしかしたら前にも書いたかもしれないけど、
ぼくが金賞をもらったときのお話。

小学校の写生大会で、
人生唯一ともいえる金賞を
もらったことがあるんです。

ぼくは、中高生時代の部活で出た
小さな大会(3,4回勝てば優勝するような)を除けば、
賞と呼ばれる晴れやかなものには、
ほとんど縁がありません。
だから、金賞は、すごく嬉しいはずなんです。
はずなんですが……。

その金賞の絵。
自分でも何が描いてあるのかわからないんです。

写生大会の大半の時間を
友だちとふざけあっていたぼくは、
終了間際になっても3分の1ほどしか
画用紙を埋めていませんでした。

そこで、
切羽詰まったぼくは、
その画用紙を水道の蛇口の下に持っていき、
紙の上にちょろちょろと水を流したんです。

3分の1だけだった水彩絵の具は水に溶け、
画用紙全体に広がります。
そうやって余白をつぶしていったら、できあがり。
ボケ足がついたパステル調の、
何を描いたのかわからない抽象画が仕上がったんです。

そんな絵が金賞をもらっちゃった。
世の中を甘く見はじめるようになったのは、
このときからかもしれません。

で、この『あなたの人生の物語』。

短編集。解説には、どの短編も
いろんな種類の賞をたくさんもらった優れモノ
ってなことが書いてありました。
で、それを読んだとき、
ぼくの人生唯一の金賞のこと思い出しちゃったんです。
いろんな見方があるんです、
人はみんな違う脳みそを持ってるんだから。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
テッド・チャン
早川書房
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