2012年12月25日火曜日

『ならずものがやってくる』(ジェニファー・イーガン)読みました。


多数決に頼らない民主主義がいいとか、
お金じゃなく物事の本当の価値が表せるもので
経済は動いていくべきだとか、
要するに「今の世の中をつくっているものは、
根本的に間違っている」
と少し前までのぼくは考えていました。

でも、
間違いはこういうふうに変えようって対案は
まったく思い浮かばず、
ただもやもやしていただけ。

そのもやもやを向ける先が、
少し方向転換したのは、
親父が亡くなってからでした。

ぼくだって、親を亡くすってのは、結構きつくって、
「こんなきつい思いさせるなら、
いっそ感情なんてものは最初からないほうがましだ。
何も考えられない(と思われる)昆虫とか動物とかの
ほうがいいじゃねーか。
誰だ! うれしいとか、悲しいとか、こらーッとか、
そんな気持ちが出てくるように仕組んだヤツは!
そもそも親がいなくなって悲しいと思うの
わかってるんだったら、
なんで生きて死ぬって流れになってんだよ、
死ぬっちゅうシステムがおかしいだろ、
なんか間違ってんじゃないの?
誰だ仕組んだヤツ!」
なんて考えたんです。

もちろん、誰も仕組んではいないですよね。
人であれば、好きだろうが嫌いだろうが、
感情もあり、生きて死ぬって仕組みの中に
いなきゃいけない。
そこで頭の弱いぼくも、なんとなくわかったんです。

「そうか、もともとが間違っているんだ。
間違っている仕組みの中に
いなきゃいけない人たちがつくる世の中なんだから、
どうあがいても完璧にはならないのか。
だから政治とか経済とかっていっても、
どっかずれてるもんしかできないんだ」って。

そんでさらに、
間違っているシステムにいないと、
面白い物語はできないだろうな、とも。

で、この『ならずものがやってくる』。

この本の中では「時間」のことを
「ならずもの」といっています。
んで「時間の流れ」ってシステムも、
ぼくが間違っていると感じちゃう仕組みの中に含まれます。
そんでそんで、完璧にはならないかもしれなけど、
そんなものには、あがいて逆らいたいんです。
時間のヤローッ! たたき斬ったるッ!!

ちなみに今年読んだ中で、一番よかった本。
でも、ほかの人が読んで
同じように思うかは自信がないので、オススメはしません。

せんないとわかっていても、逆らう人たち好きです。

ならずものがやってくる
ならずものがやってくる
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ジェニファー・イーガン
早川書房
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