2012年11月27日火曜日

『忍びの国』(和田竜)読みました。


聞き書きやインタビュー記事の
原稿をつくる仕事もやってます。

そんな仕事で、書籍とか記事とかになる文章は、
取材対象者の話した言葉が
そのまま文字になるわけじゃありません。

話してくれたことの中で、
あまり面白くない部分をカットしたり、
話の順番を入れ替えたり、
周辺情報をつけ加えちゃったり、
想像力をふり絞って話し手の気持ちを書いちゃったり。

そんなふうにやっていると、
話をしてくれた人に原稿を確認してもらうとき、
「こんな話はしなかったはずだけど、
言いたいのはコレだよ。よくわかったね」とか
「面白いこと言うんですね、私って」
なんて感想をもらったりします。

もとネタを話し手からもらい、
自分がいいと思う感じで、つくっちゃう。
つくっちゃうから、話し手の本人から、
「びっくりです」みたいな感想が出てくるんですね。

ほんで、その「つくる」のが面白いから、
仕事を続けていられる。

で、この『忍びの国』。

つくってます、つくってます。
本文の中にちらちらと元ネタ資料の引用文を書いて、
史実をもとにしているよって見せているけど、
完全に作者の世界つくってます。

つくっているから、面白い。
ぼくがもし元ネタの本家本元の
提供者である戦国武将だったら、
この本を読んで、
「事実とは違うけど、事実より事実だ。よくわかったな」
ってな感想を持つんじゃないかな。

忍びの国 (新潮文庫)
忍びの国 (新潮文庫)
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和田 竜
新潮社
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