2012年10月3日水曜日

『小太郎の左腕』(和田竜)読みました。


シナリオライターは小説も書けるけど、
小説家にシナリオは書けない──
そんな話をどっかで聞いたことがあります。

なぜかっていうと、
シナリオには制約があり小説にはないから。

制約の中でものをつくっている人は、
制約が外れても、ものはつくれる。
でも最初から制約がない人が
縛られた環境の中に入ったら、
ものづくりはできなくなっちゃうんだとか。

シナリオは最終的に画面に映ったものでしか
観客に伝えられないってことが制約なんだそうです。
それに対して、
小説は何から何まで全部文字にして読者に伝えられる。
文字では、画面には映らない人の気持ちも
「楽しく思った」みたいに、ひと言で説明できる。
でも、
シナリオでは、それを映像でどう表せば、
観る人に伝わるかを考え、
その映像を文章にしなきゃいけない。

この「シナリオライター>小説家」理論、
まぁ、多少の反論はあるけど、納得はできます。

で、この『小太郎の左腕』。

この作者の第一作(のぼうの城)は、
最初にシナリオが書かれて、
それを自分で小説にした本でした。
その本を読んで、確かに、
シナリオが書ければ、小説も書けるって
よくわかりました。

んで、それに加え、
本の面白さに震えてしまい
「わーッ、コレ凄っ!!」って
叫んだこと(心の中でね)覚えてます。

そして、この『小太郎の左腕』は、
最初から最後まで小説でした。
第一作は、
シナリオ臭さみたいな感じが残っていたんですが、
今回はまるまる小説。

んで、それに加え、
本の面白さに震えてしまい
「わーッ、コレ凄っ!!」って
一作目のときよりも大きく
叫んでしまいました(心の中でね)。

小太郎の左腕 (小学館文庫)
和田 竜
小学館 (2011-09-06)
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