2012年7月25日水曜日

『Delivery』(八杉将司)読みました。


吉野家さんの牛丼が好きでよく食べます。
なんですが……
最近は、昔ほど頻繁には行かなくなりました。
自分の味覚が変化したのか、
店側が何かを変えたのか、どちらかわからないけど
かつては毎食でもいいと思っていたほどの魅力が
なくなってきちゃったんです。
特にごはん(シャリ)の味が。

あっ、違う違う。
今回はその味の変化について言おうと思ったんじゃなく、
(それは長くなるので、別の機会に話すことにして)
「つゆだく」について、でした。

ぼくが牛丼が好きなのは、
ノーマル牛丼のつゆの量とごはんの量が
絶妙だと思っているからです。

ノーマル量だと、
つゆにまみれたごはんもあれば、
何のけがれもない真っ白のごはんもある。
それらがまだらに配置されている。
肉の配分を考えながら、
適量の肉とまだら状態のごはんとを、
がばっとハシですくい、
口の中でかみしめていく
──それがぼくにとっての絶妙な味なんです。

でも、つゆだくだと、絶妙にはならない。
ごはんのおいしさはどこかに吹き飛んでしまい、
まるまる牛丼になっちゃう。
それはイヤなんです。

バランスが気に入らない。
とはいえ、これはぼくの好みで、
まるまる牛丼のバランスが絶妙って人もいます。
そう、人それぞれなんですね。

で、この『Delivery』。

「物語のテーマ」を牛肉などの具として、
会話だとか場面展開とかの「物語を進める要素」をごはん、
時代の設定とか「背景を説明する要素」をつゆ、
って考えると、
この本は、ぼくの味覚からすると「つゆだく」でした。

でも人はそれぞれ、
きっと「つゆだく」が好きって人はいますよ。

Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
八杉将司
早川書房
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