2012年3月19日月曜日

『シャンタラム(上)』(グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ)読みました。

ぼくが映画学校に通っていたとき、
脚本の先生からシナリオの構造について、
基本的な考え方を教えてもらった覚えがあります。

その先生は、
「ぶっとい縦軸をストーリーの柱に据えて、
横軸に細かな枝葉の物語を付け加えていきなさい」
と教えてくれました。

横軸はおろそかにしちゃいけないけど、
やはり大切なのは柱になるお話。
謎を解いていくとか、
誰かを救出するとか、
誰かと誰かが結ばれるとか、
そんな幹の部分をがっしりとくみ上げて、
そこから、
繊細な職人作業で横軸を付け足していきましょう。
そんな感じの授業でした。

ヒットしている作品ってのは、
ほとんどがこの先生の教えのようになってる気がするし、
そのころぼくが書いていた脚本は、
その教えをぜんぜん守れていなかった気がするんで、
「ほーそういうことか」と、
学生のぼくは感心していました。

で、この『シャンタラム』。

全編、横軸でした。
縦軸があるんですけど
(主人公がいつも登場しているってことが縦軸かと)
その縦軸に、どかーんとぶっとい横軸が、
これでもかってくらい何本も突き刺さっている。

その横軸がどれもこれも、ずしーんとくるんです。
そんで、ずきずきと身体にしみてきて
痛くなってくるんです。

こんなお話の作り方もありなのね。
でも、のんべんだらりと日々を過ごしているぼくには、
この極太横軸連打攻撃を
真似することはとてもできません。
物語をつくるときは、
やっぱり映画学校の先生の教えに従うようにしよっと。


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グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ
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