2012年2月20日月曜日

白河三兎『角のないケシゴムは嘘を消せない』読みました。

昔はぼくも、
自分では気取ったつもりの
ヘンテコな文章ばかり書いていました。
例えば、
「その道路にある中央分離帯はいつも薄汚れている」
と素直に書けばいいトコを
「中央分離帯の上の緑は排気ガスで出来ている」
なんて書いてみたり。

そんなふうに少し格好つけたように見せると、
ウケてくれる人が多かったのも確かです。
それで図に乗って、
「よっしゃもっと格好いい文章つくろう」
と勘違いしていたんです。

そんな頃でした。
会社案内のパンフレットに載せる文章を
お客さんにチェックしてもらうことがありました。
自分では格好いいと思う表現を
7〜8個散りばめて、
「どうだ!オシャレだろ!」って気持ちです。

チェックしてくれる相手は、
自分の持つ金属加工の技術を頼りに、
一代で会社を大きくた社長さん。
分類からいえば
「ぼくの格好つけ文章を
一番褒めてくれる人たち属」に入ります。

でもでも!なんと!
技術屋社長が赤ペンを入れ修正要請したのは
格好つけ表現の7〜8カ所だけ。
ドンピシャのピンポイント攻撃でした。

そんときぼくは、
「この人は本当のことがわかっている」と思ったんです。
以降、格好つけ文章は
ぼくの中から徐々に減っていきました。

んで、この『角のないケシゴムは嘘を消せない』。

物語はそれなりに面白いと思います。
ただ、この本を、あの技術屋社長に
チェックしてもらいたいなとも思っちゃいました。

ひょっとしたら、ピンポイント攻撃のはずが、
じゅうたん爆撃になっちゃうんじゃないかな。

角のないケシゴムは嘘を消せない (講談社ノベルス)
白河 三兎
講談社
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