2012年2月13日月曜日

『驟り雨』(はしりあめ・藤沢 周平)読みました。

「なんで結婚しないの?」
と、いわゆる事実婚で長年仲良く暮らしている友だちに
聞いたことがあります。

そのとき友だちは、
「そんな手続きは要らないよ。なんでする必要あんの?」
と答えてくれました。

ぼくは、がつんと一発決められたような気がして、
「そうだよな、
制度なんかに縛られることないんだよな」って思いました。

事実、その2人は、
ぼくの知っているどの夫婦よりも仲良しで、
夫婦らしい夫婦です。
制度に則って届出を出して世間的にいうと
正式な結婚をしているどの夫婦よりもです。

知識がなくて書いちゃうのも申し訳ないんですが、
たぶん江戸時代とかの昔は、
つつましく暮らしている町人たちは、
正式な結婚届なんてなかったみたいです。

だって、この『驟り雨』(はしりあめ)に、
そんな夫婦が何組もでてくるんですもの。

ほかに女ができたから、
もう夫婦はやめだと亭主にいわれて、
おかみさんは、はいそうですかと、
そのまま荷物をまとめて出ていき、
それで夫婦はおしまいとか。

それでも、物語の中に出てくる夫婦は、
ちゃんと制度に従った夫婦よりも夫婦って気がするんです。

この本、読んでいる最中とか読み終わった直後よりも
1日くらい時間がたってから、
じわじわと、胸がぎゅぎゅってくる本です。


驟(はし)り雨 (新潮文庫)
藤沢 周平
新潮社
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