と、いわゆる事実婚で長年仲良く暮らしている友だちに
聞いたことがあります。
そのとき友だちは、
「そんな手続きは要らないよ。なんでする必要あんの?」
と答えてくれました。
ぼくは、がつんと一発決められたような気がして、
「そうだよな、
制度なんかに縛られることないんだよな」って思いました。
事実、その2人は、
ぼくの知っているどの夫婦よりも仲良しで、
夫婦らしい夫婦です。
制度に則って届出を出して世間的にいうと
正式な結婚をしているどの夫婦よりもです。
知識がなくて書いちゃうのも申し訳ないんですが、
たぶん江戸時代とかの昔は、
つつましく暮らしている町人たちは、
正式な結婚届なんてなかったみたいです。
だって、この『驟り雨』(はしりあめ)に、
そんな夫婦が何組もでてくるんですもの。
ほかに女ができたから、
もう夫婦はやめだと亭主にいわれて、
おかみさんは、はいそうですかと、
そのまま荷物をまとめて出ていき、
それで夫婦はおしまいとか。
それでも、物語の中に出てくる夫婦は、
ちゃんと制度に従った夫婦よりも夫婦って気がするんです。
この本、読んでいる最中とか読み終わった直後よりも
1日くらい時間がたってから、
じわじわと、胸がぎゅぎゅってくる本です。