2012年1月10日火曜日

『吉田キグルマレナイト』(日野俊太郎)読みました。

ぼくが映画学校に通っているとき、
短編のシナリオを書いて、
先生に批評してもらうような授業がありました。

今ではもう、先生が誰で、
自分がどんな作品を書いたのかは、
まったく覚えてないんですけど、
その授業の中で先生から言われたことは、
なぜか今でも頭に残っています。

「君の作品は、
ストーリーの枠組みとか設定とか、
脇役のキャラクターなんかは、よくできています。
上手いって言ってもいいでしょう。
でも、主人公のキャラがまったく面白くない。
これで主人公が面白かったら、
すごい作品なんですけどね」

これってつまり、
見栄えのいいように着飾っているけど、
中身の人間はそれほどでもない、
お前自身はつまらいんだよ!
そんな意味合いにとれますよね。
というか、ぼくはまるまるその意味にとっちゃいました。
だから、先生のこのセリフを忘れないんでしょうね。

よし! そういうことなら、
もっともっとごてごてに飾り立てて、
中身の人間なんて見えないようにして
……そうだ! 着ぐるみを着ちゃえばいいんだ。
そうすれば、中身なんて判断されずに、
着ぐるみのかわいさだけで勝負できるから!

で、この『吉田キグルマレナイト☆』。

着ぐるみでお芝居する役者さんたちのお話です。
ストーリーの枠組みとか設定とか、
脇役のキャラクターなんかが
とっても面白かったです。

吉田キグルマレナイト
日野 俊太郎
新潮社
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