2011年11月14日月曜日

早見和真『ひゃくはち』読みました。

「もう、彼女に電話するのも
なんだか面倒になってきて、
このまま自然消滅でいいかなって思ってる」
と友だちのセリフを聞いたぼくが、
「なんだよ、それ!
別れるか付き合うか、はっきりさせろよ!」
と怒鳴ったのは高校時代です。

おじさんになった今では、
絶対そんなこと言いません。
今なら「それがいいかもね」なんて、
へなへなな答えしか返さないでしょう、きっと。
でもそれは、投げやりになっているワケじゃなく
ホントに「それがいいかも」って思うからです。

高校時代には、自分のことじゃないのに
許せなかったどっちつかずの態度が、
おじさんになるまでに覚えてきた
「宙ぶらりんもそれなりに味がある」という真実に
照らされることで、
許せない→それがいいかも、
に変化してしまったんです。

で、この『ひゃくはち』。

読んでいる最中、
ぼくの頭の中がすっかり入れ替わったような気がしました。
今は、ふにゃふにゃになっているおじさん頭が、
かつての、がちがち頭に戻っているって感じです。

今、冒頭のセリフを誰かに言われたら、
あと1週間くらいは、
「別れるか付き合うか、はっきりさせろよ!」
と怒鳴ります。1週間後にはまた戻りますけど。

ひゃくはち (集英社文庫)
早見 和真
集英社 (2011-06-28)
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