2011年10月12日水曜日

ぼくはセリフがヘタくそです。

『1000ヘクトパスカルの主人公』(安藤祐介)読みました。

「今、何やってるんですか?」「評判の女子大生だよ」とか、
「君は一生懸命やれることを見つけなさい」とか、
「俺、がんばるよ。あの女子大生の人みたいに」などなど。

学生時代に撮っていた自主映画に出てくるセリフです。
脚本を書いたのはぼく。
あー恥ずかしい。
なんてこなれていないセリフなんでしょう。

脚本でも小説でも、
ぼくの書いたものを他の人に読んでもらって、
感想を聞くと、決まって言われるのが、
「セリフがへたくそ」。

自分では一生懸命リアルに書いているつもりなんですけどね。
セリフを書いているときは、
自分でも気がつかないうちに声に出して、
一人で掛け合いながら書いるんですけどね。
それでも、しばらく時間をおいて後から読み直してみると、
自分でも「へたくそ」と思っちゃう。

やっぱり、本当に声に出して発せられる言葉と、
目で字面を追って確認される(つまり文章)言葉とは
違うモンなんでしょうね。

だから、声に出して掛け合いながら書いても、
文字にするとヘンになる。
といっても、ぼくが学生時代に書いた脚本は、
役者(もちろんプロでもなんでもないただの友だち)が
声に出してしゃべってもヘンでしたが…。

書き言葉の中のセリフっていうのは、
無理に話し言葉のリアル感を出さないほうがいいんだろうな、きっと。
目で追って、頭の中だけで完結するから、
それ用の表現が必要なんだろうな……とか考えつつ──

で、この『1000ヘクトパスカルの主人公』。

読んでいる途中で、
昔ぼくが書いていたセリフを次から次へと思い出しちゃいました。
もしかしたら、知らないうちにこの作者も、
自分で声に出して一人芝居をしながら、書いているのかな、
なんて勝手な親近感を持ちながらの読了。


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安藤 祐介
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