「今、何やってるんですか?」「評判の女子大生だよ」とか、
「君は一生懸命やれることを見つけなさい」とか、
「俺、がんばるよ。あの女子大生の人みたいに」などなど。
学生時代に撮っていた自主映画に出てくるセリフです。
脚本を書いたのはぼく。
あー恥ずかしい。
なんてこなれていないセリフなんでしょう。
脚本でも小説でも、
ぼくの書いたものを他の人に読んでもらって、
感想を聞くと、決まって言われるのが、
「セリフがへたくそ」。
自分では一生懸命リアルに書いているつもりなんですけどね。
セリフを書いているときは、
自分でも気がつかないうちに声に出して、
一人で掛け合いながら書いるんですけどね。
それでも、しばらく時間をおいて後から読み直してみると、
自分でも「へたくそ」と思っちゃう。
やっぱり、本当に声に出して発せられる言葉と、
目で字面を追って確認される(つまり文章)言葉とは
違うモンなんでしょうね。
だから、声に出して掛け合いながら書いても、
文字にするとヘンになる。
といっても、ぼくが学生時代に書いた脚本は、
役者(もちろんプロでもなんでもないただの友だち)が
声に出してしゃべってもヘンでしたが…。
書き言葉の中のセリフっていうのは、
無理に話し言葉のリアル感を出さないほうがいいんだろうな、きっと。
目で追って、頭の中だけで完結するから、
それ用の表現が必要なんだろうな……とか考えつつ──
で、この『1000ヘクトパスカルの主人公』。
読んでいる途中で、
昔ぼくが書いていたセリフを次から次へと思い出しちゃいました。
もしかしたら、知らないうちにこの作者も、
自分で声に出して一人芝居をしながら、書いているのかな、
なんて勝手な親近感を持ちながらの読了。