2011年9月27日火曜日

隠さないほうがいいみたい。

『ぼくらのサイテーの夏』(笹生陽子)読みました。

自分に都合の悪いことを隠すのは、
人間のサガなんでしょうね。
いろんな報道を見聞きしていると、
毎日のようにそのネタが飛び交っています。

「隠すヤツはとんでもなく悪い」って意見に、
みんなが強くうなずいて、
隠した人とか組織とかをやり玉にあげています。

まあ、それはそうなんだけど、
ぼくもやっぱり都合の悪いことや恥ずかしいことって、
隠したいって思っちゃうこともある。

だから、ほとんどの人が持っている
隠そうって気持ちというか人間の習性みたいなものの
そのものを非難して、
何とかしようって考えるのが
いいのかもしれませんね。

罪を憎んで人を憎まずみたいなモンです。

んで、
大人が子どもに対して
隠そうすることもたくさんあります。

大人は大人なんだから、
子どものように間違ったことはしない。

間違った大人はいないんだ、みたいな感じです。

子どもにしてみれば、
間違った大人の存在なんて百も承知で、
間違っていない大人がめちゃ少ないことも知っている。

それでも大人は悪い大人を隠しちゃいたいんだよね、いつも。
特に児童文学とのか世界では……って、
ぼくは勝手に思っていました。

その固定観念を、
ガシャンと壊したのが、昔読んだ山中恒さん
(『おれがあいつであいつがおれで』とか)
の作品でした。

大人のいやらしさはもちろん、
子どものいやらしさも、
全部ひっくるめて作品に落とし込んでいる。

うわーっ、それってありなんだ!
とひとしきり感心した覚えがあります。

で、この『ぼくらのサイテーの夏』。

とっても正直だなって思いました。
何も隠してないって。

それにプラスして、文章がとっても心地よかった。
やっぱ『空色バトン』で、これだって思ったのは正解でした。



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