2011年9月9日金曜日

誰かほめて……

『邪馬台国はどこですか?』(鯨 統一郎)読みました。

ベテランと新人の有名音楽家同士が対談するテレビ番組があって、
その中で新人さんが、ベテランさんに、

「私が音楽を始めたのは、先生(ベテランさん)に
“君、センスあるね”と言われたのがきっかけなんです」
と言いました。

新人さんがセンスあると言われたのは、
昔放映された別のテレビ番組でのこと。

ベテランさんが自分の母校に行って、
そこにいる生徒たちに授業をする番組。

それを聞いたとき、
ぼくは、「あっ、覚えている!あの番組だ」
と即座に思い浮かびました。

何回かの授業の締めくくりに、
生徒たちが一人ずつ自分でつくった曲を
ベテランさんに評価してもらう授業。

センスあるねと言われ、
顔を赤らめている子が、その新人さんだったんです。

覚えていたのは、
ぼくが予想していたことと同じだったからです。
「この子、きっと音楽の道に進むな」って。

やっぱ、人からほめられると、やる気が出ます。
それが超有名な人だったら余計に。
さらにほめられた時期が子供のときだったら余計に。

で、この『邪馬台国はどこですか?』。
この本は、何でも新人賞の応募作品で、
その選にもれてしまった短編に、
ほかの短編を書き足して1冊に仕上げたものだそうです。

受賞作ではないものの
選者の宮部みゆきさんが有望な作品だと認め、
それを励みに作者は短編を書き足していったといいます。

……いいな。ぼくのことも誰かほめてくれないかな。

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
鯨 統一郎
東京創元社
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