ベテランと新人の有名音楽家同士が対談するテレビ番組があって、
その中で新人さんが、ベテランさんに、
「私が音楽を始めたのは、先生(ベテランさん)に
“君、センスあるね”と言われたのがきっかけなんです」
と言いました。
新人さんがセンスあると言われたのは、
昔放映された別のテレビ番組でのこと。
ベテランさんが自分の母校に行って、
そこにいる生徒たちに授業をする番組。
それを聞いたとき、
ぼくは、「あっ、覚えている!あの番組だ」
と即座に思い浮かびました。
何回かの授業の締めくくりに、
生徒たちが一人ずつ自分でつくった曲を
ベテランさんに評価してもらう授業。
センスあるねと言われ、
顔を赤らめている子が、その新人さんだったんです。
覚えていたのは、
ぼくが予想していたことと同じだったからです。
「この子、きっと音楽の道に進むな」って。
やっぱ、人からほめられると、やる気が出ます。
それが超有名な人だったら余計に。
さらにほめられた時期が子供のときだったら余計に。
で、この『邪馬台国はどこですか?』。
この本は、何でも新人賞の応募作品で、
その選にもれてしまった短編に、
ほかの短編を書き足して1冊に仕上げたものだそうです。
受賞作ではないものの
選者の宮部みゆきさんが有望な作品だと認め、
それを励みに作者は短編を書き足していったといいます。
……いいな。ぼくのことも誰かほめてくれないかな。