後ろめたいワケではないのに、なぜか心の中で
「これも仕事のうちだから仕方ないんだ」とつぶやきながら、
ぼくは、だいたいその月の始まるころに
10冊くらいの本を買います。
本屋さんから戻って、
ずっしり重たくなったカバンを開けるときは、
ずーっとニヤニヤしっぱなし。
今月は面白いのに当たるかな……。
どんな本を買うかのネタ元は、
ネットの情報だったり、新聞とかの書評だったり、
友だちからの推薦だったりするんですが、
中でも多いのが、読んだ本の中に出てきた本です。
例えば立松和平さんの『道元禅師』。
今、寝床の上にある積ん読スペースに
上・中・下巻のうちの下巻が置いてあり、
ページが開かれるのを待っています。
これは、高村薫さんの『太陽を曳く馬』で、
道元さんの『正法眼蔵』が出てきて、
「よっしゃ、これ読も!」と思ったのが始まり。
ところが、この『正法眼蔵』、
軟弱なぼくの頭脳では理解不能だったんです
(簡単そうな現代語訳なんですけどね)。
それじゃ仕方ないんで、
小説形式になってるものなら、
何とかなるだろうと立松版・道元に挑んでる最中。
本が本を呼び、つながってる感じです。
『太陽を曳く馬』→『正法眼蔵』→『道元禅師』。
で、この『努力しないで作家になる方法』。
次の購入リストに載せる本をたくさん教えてくれました。
たくさん、たくさん書名が紹介されてます。
あっ、そうそう。勘違いするかもしれないので、
念のためいっておくと、
タイトルは『努力しないで作家になる方法』となっていますが、
この本は、小説作法とか文章入門とかのたぐいの
ハウツー本ではありません。
本のオビにも書かれているように「鯨統一郎、まさかの自伝的小説!?」です。
たぶん、努力しない人は、作家にはなれませんので。
んで、この本からぼくの欲しいものリストに転載されたのは、
『スラン』(ヴァン・ヴォクト)
『発狂した宇宙』(フレドリック・ブラウン)
『占星術殺人事件』(島田荘司)……などなどいっぱいありました。
読む本をたくさん教えてくれたからって
わけじゃないんですが、この『努力しないで〜』は、
ひさびさに5つ星をつけちゃった作品です。
よかったです! 面白かったです!
何がどう面白かったってことをいわずに、
次に読む本をいっぱい教えてくれたなんて、
どうでもいいことをつらつら書き連ねちゃったのは、
まあ、照れ隠しみたいなモンです。
だってホントに面白かったんですもの。