2011年6月14日火曜日

カッコよく、読みやすく。

『フロネシス05 エコと経済の新しい関係』
(三菱総合研究所)読みました。


本をつくる作業の中に、デザインっていう工程があります。

文字はココのスペースに配置して、
その下に写真を置き、イラストは右上に小さく
……なんてことを考えていく作業です。

レイアウトともいいます。

このデザイン作業を専門にやってくれる人がデザイナーさんです。
もっと細かく、デザイナーさんとDTPさんって
分けるのが普通なんですけど、説明が面倒なので、
ここでは申し訳ないけど、
ひとくくりでデザイナーさんとしちゃいます。

文字の原稿をつくるのが著者、
写真を撮るのがカメラマン、
イラストを描くのはイラストレーターで、
それらの素材を紙面にきれいにレイアウトするのがデザイナーです。
んで、そんな人たちをまとめ上げ、調整役になるのが編集者。

その中で、ふだんぼくがよくやっているのが、
著者と編集者の2つの掛け持ち作業です。
原稿を書きつつ、みんなの調整役になるって感じでしょうか。

さて、ぼくがパソコンの解説本をつくったときことです。
ぼくは、その書きつつ調整役をする掛け持ち役でした。

作業も山場にさしかかり、
デザイナーさんに、テキストデータの原稿やイラスト、
写真なんかを、ごそっと渡して、
「カッコイイ、おしゃれなレイアウトしてくださいね」
とお願いしました。

何日かたって、
レイアウトされた紙面ができあがってきました。

すごくオシャレです。
何も配置していない余白の部分を大胆に使って、
本文の文字は小さく。
タイトルになる大きめの文字も細いフォントで、おしとやかに。
女性向けのファッション雑誌のようです。

でも……。
それをよく眺めて見ると、なんかヘンだったんです。
ちゃんと読めないんです。
文章が途中で切れていて、その続きはどこにあるか、
すぐには見つからなかったり、
写真の説明と本文の区別がつかなかったり、
きれいな写真を大きく扱っているんだけど、
内容からして他の小さく配置された写真のほうが重要だったり。

きれいでオシャレなんですよ。カッコイイんですけどね。

でも、解読にとっても時間がかかっちゃう。
パズルを解きながら読んでいるような感じです。

「ああ、この文章はこの写真のことを言っているのか」
「あった!この文章の続きはココね」……

なので、そのレイアウトは、
もう少し読みやすくなるように直してもらいました。

で、この『フロネシス05「エコと経済の新しい関係」』。
デザイン、すごくカッコイイです。

それだからなんでしょうか、
ぼくの経験したような読みにくさも、ちょっと感じてしまいました。

デザインと読みやすさ、
両立させるのはやっぱり難しんですよね。


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