2011年6月6日月曜日

視点は大事だけど大事じゃない。

『豆腐小僧双六道中おやすみ本朝妖怪盛衰録』
(京極夏彦)読みました。

小説を書くときは視点が大切だってことを
誰かに教えてもらった覚えがあります。
登場人物の中の「誰」を語り手にして、
物語を進めていくかってことですね。

この視点がぶれると、
読みにくくってごちゃごちゃの、
わかりにくい文章になっちゃう。

「ぼく」とか「私」とか、語り手が一人称のときは、
そうそう視点がぶれるってことはないんですが、
「ポン太が言った」とか「リリーは飛んだ」とかの
三人称になると、結構ぶれちゃいます。

例えば、リリー視点で話を進めているのに、
「ポン太はリリーが好きだった」とか書いちゃう。
リリー視点つまりリリーの目には、
ポン太の感情は見えないので、これはNG。

そういうのを気にしていくと小説書くのって、
結構面倒なんですね。

で、この『豆腐小僧〜』。

あらら、視点があちこち飛びます。

というか、
登場人物の中の誰にも視点が置かれていないみたいです。
あえて誰の視点かっていうと、
物語のすべてを把握している語り部の京極さんかな。

今までこれと似たようなつくりの物語を
読んだこともあるような気がするんですが、
作品名は思い出せません。それはきっと、
視点バラバラでわけがわからず、
何も印象に残らなかったからだと思います。

でもね!
なぜかわからないけど、これ面白かったんです。
視点バラバラでも、ぜんぜんOKでした。

やっぱ京極さんってスゴいっすね。
 
ぼくは、京極さんの作品が好きで、
ほとんど読んでいたんですが、
実はこのシリーズだけ抜けてたんです。
だって、分厚い上に版型が四角のサイコロみたいで、
読みずらいなって感じちゃったから。

でも重いの我慢して他の本も読んでみます。
そうすれば、なんで面白いのか、
少しはわかってくるかもしれないし。

豆腐小僧双六道中おやすみ本朝妖怪盛衰録
京極 夏彦
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