2011年5月23日月曜日

年代別、読書感

『雁の寺・越前竹人形』(水上 勉)読みました。

確か20歳代のころ、
志賀直哉の『和解』について、
「お前はまだ若すぎてこの作品の良さはわかるはずはない」
と言われたことがあります。

そんで、読んでみたら、やっぱり興味はわかず、
いやいやそれは年齢じゃなく、
作品自体の力ってモンでしょうと思い、
良い作品なら読者の年齢など関係なしに誰でも感動できるモンだ、
なんてひねくれてました。

で、この『越前竹人形』。
そのひねくれの20歳代に一度、読んだことがあるんです。
そのときは、ものすごく素晴らしい作品だと感じ、
人生が変わっちゃうよくらいに思えたんです。

それから二十数年。
新刊のストック本がなくなり、
仕方なく本棚の隅に隠れていたこの本を再読。

あのときの感動をもう一度と、
どきどきしながら読みました。

驚いたのは、細かい部分はもちろん、
全体のストーリーも結末もまったく忘れていること。
ひとかけらの記憶もありませんでした。

まあ、だから新鮮な気持ちで読めたんですが、
期待に反し、怒濤の感動はまったくなし。
ふーん、面白かったって程度です。

やっぱり、読む年代によって作品の評価は違うのかな。
『和解』も、もう一回読んでみようかな。

雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)
水上 勉
新潮社
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