2011年4月19日火曜日

ぐにょぐにょ部分が影響するつくり方

『大いなる遺産』(下)ディケンズ、読みました。

もう20年ほど前になるでしょうか。
ぼくの好きな作家ジョン・アーヴィングさんの
『ホテル・ニューハンプシャー』を読んだときのこと。

感想からいうと、とっても面白かったんです。

休みの日の朝に読み始めて、
その日の夕方までに一気に読みです。
読後はもう興奮冷めやらず、
いてもたってもいられない感じに。

そんなとき目に止まったのが、
新聞の映画上映スケジュールの欄でした。

そこに、この作品を原作にした映画が載ってたんです。

上映時間を確認すると、
「うわっ、これから出掛ければ、最終上映に間に合うじゃん!」

そんなわけで、ぼくは急いで上映館に向かいました。

原作と同名タイトルの映画は、
さっき読んだ本の内容をほぼ忠実に描いていました。
ぼくが感動して、
いてもたってもいられないほどになった内容です。

でも! でも、でも。面白くなかったんです。

どんでん返しなんかがあって、ネタバレしちゃったから、
つまらないってことじゃありません。

最初からストーリーがわかっていたって、
面白いものは面白いでしょ。

何度も繰り返して読む本や観る映画はあるし、
そういう作品は、たいてい再度触れるたんびに
違った面白さが出てくるモンじゃないですか。

でも、この映画は、面白く感じられなかった。

このときぼくは、同じ内容でも、つくり方の違いで、
面白さはまったく変わってくるんだなってことを実感しました。

これは映画と小説という伝達方法の違いというより、
つくった人のクセとか技術とか思いとか、
そんな形にならないぐにょぐにょした部分が影響してるんだと、
何の根拠もなく考えています。

もちろん、つくり方を目一杯ぼくの好みに合うようにしても、
びた一文も面白くならないストーリーってのは、ありますけどね。

えーっと、わかってると思いますが、
ここまでは『ホテル・ニューハンプシャー』の話です。

で、今回感想を書こうと思ったのは、
やっとのことで上下巻を読み終わった『大いなる遺産』。

そうですね……『大いなる遺産』
ぼくの好みに合うようなつくり方をしてくれれば、
きっと面白かったんだろうな……。

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