2010年11月4日木曜日

あるがままを受け入れる

『現代文訳 正法眼蔵4』(道元著/石井恭二訳)読みました。

存在することの意味、生きるとは何であるか。
もしくは、仏教ってどんなものか、悟りの境地ってどんなものなのか。
4巻目まで読み通してきた正法眼蔵からは、
それら哲学的、宗教的な答えを、
一つたりとも見つけられなかったぼく。

というか、
難しくてわからなかったぼく。

全5巻シリーズになっているこの現代文訳は、
実はこの4巻で本編が終わってしまいました。
5巻目は、本編にもれたものを集めた拾遺モノと
新しく書き加えられたモノをまとめた本。

なので、ここまでの本編は、
たぶん一般的にいう読書とはいえず、
単に並んでいる文字を眺めていたといってもいいでしょう。

ですが!

この4巻では1カ所だけ、きちんと理解でき、
しかも感動した文章がありました。

それは、藤沢周さんという作家が書いた解説文。

解説といっても本の内容を説明しているわけじゃなく、
自分のことをエッセイみたいに語っている文章です。
もしこれが本の内容を説明しているものだったら、
きっとまたぼくのふにゃふにゃ頭では理解できず、
感動の「か」の字も出てこなかったと思います。

その解説文には、
藤沢さんが幼少のころ、父親に怒られた思い出が記されていました。

きれいな桜を見て
「きれいだな、桜はなんで毎年咲くの」と父親に聞いたら、
「そんなこと疑問に思うんじゃない」と。

前年までは、言葉もおぼつかない幼児だったので、
疑問など言葉にせず、
きれいな桜を、ただそのまま受け入れていた。

それが言葉を覚えたがために、疑問を口にするようになった。
父親は、息子の心が、あるがままを受け入れる姿勢を
無くしてしまったと嘆き、怒ったのだろうと回想していました。

そして、この正法眼蔵の世界は、
言葉を知ってしまった人が、言葉を持ちながらも、
すべてをあるがままに受け入れる方法を
示していると表現していました。

へなちょこ頭のぼくには、
本編を読んでそこまで理解できなかったのですが、
この解説文が言っていることはよくわかりました。

ということで!

5巻を買いに行って、
あるがままを受け入れる方法っていうのを探してみよっと。

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道元 石井 恭二

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